まぶたの腫れ
こんにちは。
今日はまぶたが腫れていると心配されている患者様が来院されました。かなり以前から右のまぶたが腫れている感じがして気になっていたそうです。少し赤みもある感じと。
まぶたの腫れといってもさまざまなパターンがあります。一般的にはものもらいの類が日常診療では多いですが、今回は少し様子が違いそうです。見てみるとまぶたの外側を中心に腫れています。やや赤みがあるでしょうか。
ご本人は副鼻腔炎で治療中で抗生剤を内服しているとのことでした。それと関係があるのかも知りたいと。頭痛もあるとのことでした。
診察してみると目の表面には異常はありません。眼底も目立った異常は無いようです。
腫れている箇所にふれてみると、明らかなしこりや腫瘤は触れません。
副鼻腔炎についてはCTやMRIといった画像検査は行なっていないとのことでした。副鼻腔は眼窩(目がおさまっている窪み)の周囲にある空洞ですが、粘膜に覆われています。粘膜が感染やアレルギーなど、最近では好酸球性副鼻腔炎が増えていますが、粘膜が炎症で腫れます。副鼻腔炎でまぶたが腫れるケースは少ないのではないかと思いますが、目のすぐ隣にありますので眼球やまぶたに影響を及ぼすことはあります。
まぶたの奥は眼窩という窪みになっています。眼窩の中に腫れの原因となるようなものがある可能性もあります。まぶたの外側となると、まず考えるのは涙腺です。涙腺は涙を作る組織ですがいろいろな理由で腫れます。炎症だったり、腫瘍もあります。またIgG4関連眼疾患という難病指定されている病気があります。全身のいろいろな臓器にIgG4という免疫グロブリン陽性の細胞が浸潤するものです。涙腺も障害される臓器のひとつです。ただ両側性に認められることが多いので今回のケースでは少し違うかなといった印象ですが。また特徴的な腫れ方なのでまぶたを見ただけである程度察しはつきます。
甲状腺眼症もまぶたの腫れが高頻度に見られる病気ですが、ときどき甲状腺眼症のまぶたの腫れで紹介されてきた患者さんの中にIgG4の患者さんが混ざっていました。治療はステロイド剤にとてもよく反応するのですが、減量すると再発しやすく管理が難しい病気です。また全身の他の臓器にも病気が起こっていることもあるため、血液検査やシンチグラフィーで検索が必要だったりします。僕の患者さんでも長年みさせていただいている方が数人いらっしゃいます。少量のステロイドを病気の勢いを見ながら調整しています。
今回の患者さんは相談してMRIを取ってみることにしました。眼窩のMRIはいったいどれぐらいの数をみてきたか想像できませんが、ずーっと見ても飽きません。眼窩は血管、筋肉、神経などいろいろなものがあります。MRIそれらをかなり精細にみることができます。何かがあるということだけでなく、鬱血の状態や浮腫の状態など、つまり眼窩よりさらに奥の異常を反映していることもあります。
当院の近隣には画像診断のクリニックもありますので検査もスムーズです。撮影したデータをCDROMにコピーして持参いただければすぐに画像をチェックできますので、当院の診察と撮影を同じ日に予定すれば無駄な時間もありません。空きがあれば当日に撮影できることもあります。あらかじめお問い合わせいただければ、当院経由で画像撮影の予約をお取りすることが可能です。
今日の患者さんは、お知り合いの眼科の先生に、この近辺でこの症状を見てくれる良さそうな先生はいるかと尋ねられたそうです。そうしましたところ当院が良いのではと教えていただいたとのことでした。スタッフと一緒に ”えーっ嬉しい” と喜んでしまいました。
さてMRIで何かあるか、患者さんの長年心配していたことが解決できると良いですが。