ボトックス

こんばんは。開業して1週間が過ぎました。あれやこれや全然落ち着いた感じがしないまま、空き時間にスタッフと一緒にいろんなことを整えています。大変ありがたい事にオリンピア眼科病院からの患者さんが来院してくださるので適度に診療もできています。本当に感謝の言葉しかありません。
僕が見させていただいている患者さんには”複視”の症状を持つ患者さんが沢山いらっしゃいます。自分がなったことはないとはいえ、複視がどんなにつらい症状かは想像に難くないと思います。複視とは物が二つに見えてしまう症状です。甲状腺眼症では眼球を動かす筋肉に腫れが起こり、その結果として筋肉が動きづらくなる、実際には伸転(筋肉の伸び)が悪くなるのですが、一度悪くなると容易には治らないところが厄介です。左右の目が揃って物を見れなくなって複視が起こります。
ボトックスというお薬が目を動かす筋肉に使用できるようになってしばらく経ちますが、このお薬によって治療がだいぶ変わりました。ボトックスは筋肉を麻痺させるお薬です。伸びが悪くなった筋肉に注射することで筋肉を緩ませて症状の改善を行います。このお薬がない頃は手術によって目の動きを治すことが多かったのですが、ボトックスの登場後は手術件数も減りました。といっても複視の患者さんが減るわけではないのでボトックスの注射をする機会は増えました。前職のオリンピア眼科病院では僕自身もうちょっとで延べ1500回という注射をさせてもらいました。
今日も僕のクリニックでボトックスを行いましたが、手術にしようか患者さんも悩まれていました。手術はできればしたくないけど、ボトックスも長くなっているし・・・。”手術は怖くないですよ”とお話して、また相談しましょうということになりました。手術をして日常の生活に不自由がなくなる患者さんがほとんどですが、なるべく悪くしないことが手術も容易になりますし、患者さんの負担も軽くなります。やはり症状が始まった頃からのしっかりとした治療と管理が大切だと思います。